初心者ガイド

合気道武産会滋賀道場の初心者ガイドです。このページは、これから合気道を始めようかとお考えの方と、稽古を始めたばかりの方の両方に向けてまとめています。前半では稽古の進み方や準備について、後半では稽古の中で意識していただきたいことを5つに分けて書いています。

稽古日時や体験のお申し込みについては体験のご案内、会費やコースについては大人クラスをご覧ください。

目次

稽古1回はこう進みます

彦根市京町道場の大人クラスは、1回あたり1時間です。稽古の始まりと終わりには、全員で整列して礼をします。特別な受付の手続きはありませんので、開始10分前を目安にお越しいただき、そのまま稽古にご参加いただけます。

稽古を始めてから15〜20分程度は、武器技と基礎稽古にあてます。木刀(合気剣)や木杖(合気杖)を使って、素振りや基本の動きを繰り返す時間です。木刀・木杖は道場に備えてありますので、始める前にご用意いただく必要はありません。

その後の40分程度が体術の稽古です。二人一組になり、技を掛ける側と受ける側を交代しながら繰り返します。

なお、全体での準備運動の時間は設けていません。冒頭の素振りや基礎稽古が、体をほぐしながら基本を確認する時間を兼ねています。ご自身の体調に合わせて、必要な分は各自で体をほぐしてからお入りください。

当会は、開祖が残した武器技の理を重視して稽古する点に特徴があります。武器技で学んだ体の使い方を体術に活かし、体術で気づいたことを武器技に還元する——この往復が、1回の稽古の中に組み込まれています。武器を持つ時間が長く感じられるかもしれませんが、体術と切り離された別のものではありません。

【初心者向け】の曜日について

彦根市京町道場の大人クラスには、【初心者向け】と記した曜日があります。

曜日時間
火曜日20:00〜21:00【初心者向け】
水曜日20:00〜21:00
木曜日19:00〜20:00【初心者向け】(この日のみ開始時間が早くなります)
金曜日20:00〜21:00【初心者向け】
土曜日20:00〜21:00
日曜日20:00〜21:00

【初心者向け】は、その日の稽古内容が新しく始める方に向いているという意味です。参加できる人を限定するものではありません。初心者の方が他の曜日に参加されても、経験のある方が【初心者向け】の日に参加されても、どちらも問題ありません。子供クラスから大人クラスに上がる方や、大人クラスの雰囲気に慣れたい方にもお勧めしています。

内容の違いとしては、【初心者向け】の日は、技そのものより手前の、基礎動作と攻撃方法の稽古が多くなります。立ち方、足の運び、手刀の打ち方、突きの出し方といった、あらゆる技の土台になる部分です。

このページの後半で挙げている①前腕部と握力、②立ち方、③摺り足は、まさにこの部分にあたります。技を早く覚えることより、技が成り立つ体と動きをつくることを先に置いている、とお考えください。

はじめのうちに手をつける順番

合気道には覚えることが多くありますが、一度に全部を意識しようとすると、かえって身につきにくくなります。当会では、次のような順番で意識していただくことをお勧めしています。詳しくはこのページの後半で1つずつ説明します。

  1. 体をつくる——前腕部と握力。素振りと手刀打ちで、まず土台をつくります
  2. 足を決める——半身・六方(統一体)・一重身の3つの立ち方を、体に染み込ませます
  3. 移動を覚える——橦木足からの摺り足で動けるようにします
  4. 稽古の型を知る——固い稽古・流れの稽古・気体の稽古の違いを理解し、まずは固い稽古を積みます
  5. 身を守る——受け身。4の稽古方法を前提に考えます

あわせて、はじめのうちに中心となるのが攻撃方法と受け身です。技を掛ける側の稽古に見えて、実際には「どう攻めるか」と「どう受けるか」の質が、そのまま技の稽古の質になります。攻撃が定まらなければ技が成立しませんし、受け身が取れなければ思い切った稽古ができません。この2つが、上の1〜5と並行して進んでいきます。

1から3までは、一人でも稽古できる内容です。稽古に毎回参加できない時期があっても、素振りや型の確認は続けられます。この点はよくあるご質問の「毎回参加できないのですが・・・・」でも触れています。

用意するもの

体験のときは、大人クラスは動きやすい服装でご参加いただけます。子供クラスは柔道着または合気道着、水分・タオルなどをお持ちください。木刀・木杖は道場に備えてあります。

入会後は、次のものが必要になります。

  • 道着:合気道着 または 柔道着
  • 武器:木刀(大刀)/木杖(4.21尺 8分)/袋

武器は、京都市武道センターで行われる本部の稽古に参加される際に必要になります。そちらに参加されない間は、道着のみで稽古いただけます。

道着をいつまでに用意するかについて、期限は設けていません。ご都合に合わせてご相談ください。どの武道具を選ぶかで金額に差が出ますので、実際に始められる際にご相談いただければ、負担が少なくなるようにご案内します。選び方や参考価格は武道具の準備についてにまとめています。

会費・入会金・スポーツ保険については大人クラス、子供クラスについては子供クラスをご覧ください。

はじめる前によくある不安

年齢や体力に不安がある
ご自身の体力と相談しながら稽古していただけます。基礎体力をつくるところから、個々の状況に合わせて進めます。よくあるご質問に「還暦で初心者ですが稽古は可能でしょうか?」という項目があります。

武道の経験がない
他の武道の経験がない方も参加されています。むしろ、他武道で身についた足の使い方が抜けずに苦労されるケースもあります。経験の有無が入口の条件になることはありません。

組手や試合が不安
当会では、組手・乱捕り・試合は行いません。合気道は護身を旨とするため、勝敗を競う形にすると本来の目的から離れてしまうと考えているためです。

毎回は参加できそうにない
はじめのうちは型を覚えることと呼吸力を養うことが中心になります。これらは一人でも稽古できます。稽古に出られない日も、型を振り返ったり木剣を素振りしたりすることで続けられます。

こうした点は、実際に道場をご覧いただくのが早いと思います。彦根道場の体験は無料です。恐れ入りますが、稽古の見学のみでのご参加はお受けしておりません。

稽古で意識していただきたい5つのこと

ここからは、稽古の中で意識していただきたいことを5つに分けて説明します。これまでブログでお伝えしてきた「初心者に知って欲しい事」シリーズをもとにまとめ直したものです。各項目の末尾に元記事へのリンクを置いていますので、さらに詳しく知りたい方はそちらもご覧ください。

① まずは前腕部と握力を鍛える

武道である以上、一定量の鍛錬は避けられません。合気道でも同じです。最初に鍛えたいのは、前腕部と握力(指)です。前腕部は、相手の攻撃を受けたり、掴まれた状態で動かしたりする部分です。固い稽古を強く行うと相応に負担がかかるところなので、しっかり鍛えておきたいところです。自分から掴んでいく稽古もありますので、握力も強くしておきましょう。指が弱いと、思わぬ怪我につながります。

基本の稽古では、相手と自分が接触するのは小手の部分であることがほとんどです。そこに双方の力が加わりますから、小手に強度がないと、壊れないように稽古の手を抜くしかなくなります。一定の強度がないと、技が本当にかかる状態まで持っていけないということです。上手に力を通せば負担は小さくなりますが、初心者のうちはその状態をつくれませんので、技術だけを求めるのはお勧めしません。

鍛え方の基本は素振りです。剣の振り方を覚えるための稽古ではありませんので、木刀より杖を使うほうが向いているかもしれません。刀を意識しすぎると刃筋が気になって遠慮がちな振り方になりますが、杖なら多少雑に振っても差し支えありません。その分しっかり腕に負荷をかけられますし、体幹にも響きます。

次に正面打ち(手刀打ち)です。合気道で相手を倒すには手刀を使うのが基本だと考えています。投げや極めは高度な技術ですから、まずは手刀、次に突きで倒せるように稽古を積みましょう。手刀打ちは実際に何かを打って稽古します。最終的には人の手を打つことになりますが、その前にミットを打つのも良い方法です。手刀打ちの稽古を十分に積むと、それを受け止める技の稽古の質も上がります。

まずは素振りと手刀打ちを、優先的に稽古してみてください。詳しくは初心者が増えてきたので参考にして欲しい事①をご覧ください。

② 3つの立ち方を体に染み込ませる

2つ目は立ち方です。当会では、特に後ろ足の使い方について繰り返しお伝えしています。重要な部分なので妥協ができないところです。理屈を理解するより先に、体に染み込ませていただくほうが早いと考えています。基本となるのは次の3つです。

  • 半身——合気剣の立ち方です。斉藤先生の動きが参考になります
  • 六方(統一体)——養神館の立ち方に近い形です。塩田先生の立ち方が参考になります。ただし後ろ足はできるだけ真横に向けます
  • 一重身——合気杖の姿勢です。田中先生の動きを参考にしたいところですが動画が少ないため、開祖を参考にするのも良いと思います。開祖は杖をよく使われるので探しやすいはずです

どの技を稽古しているときも、この3つのどれかになるように意識してください。1つの技につき1つの立ち方と決まっているわけではありません。必要なら3つとも使って技を行います。大切なのは、この3つ以外の立ち方に崩れないことです。

武器と立ち方には対応があります。剣術では半身と六方(統一体)を使い、杖では一重身を使います。短刀では半身と六方(統一体)を使います。剣術は半身でいる時間が長く、杖術は一重身でいる時間が長いため、半身を染み込ませるには剣術を、一重身を染み込ませるには杖術を稽古するのが近道です。

初心者の方は、一の素振りと直突きを、とにかく丁寧に稽古してください。それによって足が定まってきます。理解力や運動能力に自信がない方もいらっしゃるかもしれませんが、初心者に一番大切なのは反復です。九九を覚えるようなもので、センスも特別な努力も要りません。しつこく繰り返して、体に染み込ませてください。

なお、日常的に半身でいるのは難しいと思いますが、危険を感じる場所や状況では半身の姿勢をとることをお勧めしています。半身でいると、真っ直ぐ立っているときより視野が広くなり、体の面も変えやすくなります。詳しくは初心者が重視すべき事その②をご覧ください。

③ 摺り足で動く

3つ目は移動の仕方です。移動の際は、橦木足の状態からの摺り足を意識してください。できれば、前足を1ミリほど浮かせた状態での摺り足を稽古していただきたいところです。「それは摺っていない」と言われそうですが、そこはあまり考えず、常に1ミリほど浮いているような摺り足を身につけると得るものが多い、と知っておいてください。

床に引っかかる場合——体育館の床などで、汗をかく日に前足が引っかかる方がいます。湿気や床のコンディションで摺り足がやりにくい環境は確かにあります。ただ、環境のせいにするのは誰にでもできることですので、自分の動きのほうを見直してみましょう。

引っかかる原因は、体重を移すのが早いことにある場合がほとんどです。前足に体重を移すタイミングが早いほど足裏の摩擦が強くなり、それが一定以上になるとブレーキになります。ブレーキがかかるタイミングが早いと、体の移動する力が腕に伝わる前に消えてしまいます。

そうなると、移動力の代わりに、腰をひねる動作や腕を伸ばす動作で力をつくることになります。この力も強く、初心者には使いやすいのですが、体が居着いてしまうという問題が生じます。腰をひねったり腕を伸ばしたりして力に変えるには足が固定されている必要があり、その間は動けないからです。

反対に、体重移動をゆっくりにして、前足に体重が移るタイミングと技のタイミングを合わせると、移動力が技に乗ってきます。移動している時間が長くなる分、安全性も増すと考えています。このタイミングを身につけるには、まず体重移動をできるだけ遅くする身体操作を覚えることです。そのために、前足を少し浮かせたまま移動できる距離を伸ばす稽古をします。これができてくると、自然と技に移動力が流れるようになります。当会では、これが呼吸力の一つの正体だと考えています。

体重移動が剣先・杖先に素直に伝わっているかは、武器の素振りの一本目で確認できます。剣の素振りの1本目、杖の素振りの1本目、短刀による横面打ちを、基礎固めとして稽古してみてください。詳しくは初心者に知ってほしい事③をご覧ください。

④ 稽古方法には種類がある(三元)

4つ目は稽古方法の種類です。早い段階で知っておいていただくと、その日の稽古の意図がつかみやすくなります。開祖は、人の成り立ち・技の成り立ちとして三元を強調されていたと伝えられています。構成要素と言い換えたほうが分かりやすいかもしれません。滋賀道場では、合気道の技を構成する三元を「固体・流体・気体」と定義しています。人体でいえば、肉と骨が固体、血やリンパ液などが流体、呼吸が気体にあたります。

技の構成を三元で考えると、筋力や骨を鍛え構えを強くする部分が固体、動きの流れ・力の流れが流体、意・念・気・拍子といった形のないものが気体にあたります。稽古方法そのものにも、この考え方が反映されています。

固い稽古(固体)——相手にがっちりと取らせて、固定されたところから始める稽古です。相手を固定することから始まるので、後の先の位置づけになります。骨と筋肉を強化するため、相応の負荷をかけて行います。受け手は「技をする者を固定する」ことを目指します。固定できるように工夫していると、自然と流体の内容も分かってくるようになります。

流れの稽古(流体)——流れをつくる、あるいは流れに乗る稽古です。相手と接触した瞬間、または同時進行で技を掛けます。同時進行なので先の稽古です。固い稽古を積み重ねていると、そこに流れがあることが分かってきます。固い稽古では数手に分かれていた技を、1手で行えるようにしていきます。流れに合わせるには、離れている時から相手に合わせていることが大切で、その感覚が伸びていきます。これが気体の入口です。

気体の稽古——離れた状態が大切だと考えるようになったところから始まる稽古だと捉えています。意識の問題、イメージを現実にするための念、リズム(拍子)といった、形はないが確かに存在するものを見つけて利用する段階です。先の先の位置づけになります。打ち合わせを一切しない演武も、この段階の稽古にあたると考えています。誰でも稽古できる形にするには、まだ研究が必要な領域です。

どの稽古方法でも固体・流体・気体はすべて揃っており、違うのはどの部分がより強化されるかです。順番としては、固体の稽古で土台をつくるところから始めるのが良いと考えています。初心者の方は、まずしっかりと固い稽古を積み重ねてください。詳しくは初心者に知って欲しいこと④-稽古方法-をご覧ください。

⑤ 受け身の考え方

5つ目は受け身です。④の稽古方法があることを前提に、どう受け身を取るかという話になります。はじめにお断りしておくと、当会では受け身の受け方を細かく定義することを、あまり良いとは考えていません。基本的に自然なものだと捉えているためです。

受け身の基本は、技を受けたときに身を守れることです。稽古中に身を守る役割を果たすのが受け身、という考え方です。怪我が起きなければ、いろいろな稽古がしやすくなりますし、安心して稽古できます。

そのうえで、できるだけ技の効果や形を変えないまま、ダメージを最小限にできる受け身が良い受け身だと考えています。この考え方が崩れると、受け身に合わせて技の形を変える必要が生じてしまいます。稽古の中で注意していただきたい点です。

受け身の具体的な取り方——後ろ回り受け身、体の開き方と足の捌き方、足の指の使い方、一人でもできる工夫——については受け身と体づくりにまとめています。詳しくは初心者に知っておいて欲しい事⑤ 受け身もご覧ください。

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