摺り足で動くこと
初心者に知って欲しい事の3つ目は、移動の際に必ず摺り足を使うことを意識しましょうという内容です。
もちろん、橦木足の状態での摺り足であることが必要です。
できれば、前足を1ミリくらい浮かせた状態での摺り足を練習してくれれば良いと思います。
「それは摺ってないね」という指摘をいただきそうですが、そこはあまり考えずに、常に1ミリ程浮いているような摺り足を身につければ得るものが多い、という事を知っておいてください。
床にひっかかる人
体育館の床などで、汗をかくような日に摺り足をすると前足が引っ掛かる人がいます。
この場合、「先生、摺り足をしようとすると、床が滑らないので引っかかるのですが・・・・」と言われることになるのですが、床が原因なのでしょうか?
確かに、湿気の問題や床のコンディションで摺り足がやりづらい環境というのはあります。しかし、環境のせいにするのは誰でもできることなので、自分自身のスキルの方を考えて解決策を講じてみましょう。
どれほど引っ掛かりやすい環境下で稽古していたとしても、自分自身の動きの中にも、引っ掛かかってしまう原因は有るのです。それは、だいたいの場合は体重を移動するのが早いという事です。
前足に体重を移すタイミングが早いと、それだけ足の裏の摩擦が強くなります。これが一定以上になるとブレーキになってしまうのですが、ブレーキがかかるタイミングが早くなると、体の移動する力が腕に伝わる前に移動の力は消失します。
すると、移動力の代わりに、腰を捻る動作や腕を伸ばす動作で攻撃や技に使う力を作り出す必要が生じます。この力も非常に強いですし、初心者には使いやすいものなのですが、体が居着いてしまうという大きな問題を生じます。
なんせ、腰を捻ったり、腕を伸ばす動作を力に変えたければ、足が固定されている必要がありますから、その動作の間は動けないという事になります。戦場なら槍や弓で狙われるかもしれませんね。
その点、体重移動の速度をゆっくりにして、前足に体重を移すタイミングと、攻撃や抑えの動作のタイミングを合わせてあげると、移動力が攻撃や技の中に乗ってきますし、移動している時間が多くなるので、安全性も増すと思います。
このタイミングを習得するためには、まずは、できるだけ体重移動を遅くする身体操作を会得するべきだと思います。そのために、前足を少し浮かせたまま移動できる距離を伸ばす稽古をするのです。
そうすれば、自然と攻撃や技に移動力が流れるようになるでしょう。私は、これが呼吸力の一つの正体だと考えております。
一の素振りや直突きで稽古をする
体重移動が素直に剣先に伝わっているか、杖先に伝わっているか、を確認することができるため、武器の素振りの一本目をとにかく大切にして稽古をしましょう。
もちろん、打ち込みや突きで稽古をしても良いのですが、合気道の護身術としての真骨頂は武器技に有ると思います。
武器を使ってインパクトを出す練習をしたほうが実践的で良いと思いますので、ぜひ種類の違う武器を使って稽古をしましょう。
剣の素振りの1本目、杖の素振りの1本目、短刀による横面打ち、などが良いと思います。ぜひ基礎固めにやってみてください。
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