合気道にはいくつかの稽古方式が存在します。
初心者の方は、まずこの稽古形態の必要性を理解して欲しいです。
私は、大きく分けて4つ存在すると思っているのですが、細かく考えるともっと存在するでしょう。
とりあえず、4つの稽古方式をさっとまとめると次のとおりです。
- 固い稽古
- 流れの稽古
- 気の稽古
- 荒稽古
- 固い稽古は土台を作るのに必要不可欠な稽古
-
固体の稽古です。相手の技に掛からないようにするというのではなく、しっかりと固定された状況から技の稽古をするというものです。受けは全力で力を出して固定が解かれないようにします。緩めたり下がったりはしないのが基本です。
斉藤先生が重視された稽古方法で、昔京都で指導を受けた際にもしっかりとした固い呼吸法を教えていただいた記憶があります。植芝翁の合気道を追求するのであれば、一番時間をかけて取り組まないといけない稽古方法です。
「わしは60年固い稽古をして今がある、貴様らに何が出来るか」と開祖は言ったそうです。
天浮橋に立つ事、呼吸力を要請する事、この二つが大きな目的だと思います。
- 流れの稽古は技の途切れを無くして
-
流体の稽古です。固い稽古を一定量行うと土台が出来上がってきます。非常に強くなれた気がするのですが、技が動作ごとに切れている状態ですので、実際に技を使用するには隙が多い状態になります。
そこで、呼吸力を流したり、動きに流れを作って、技の途切れを無くしていくわけです。それによって、動作によって技が途切れることなく一つの技となります。
途切れを無くす方法は、当身、呼吸力で動かす、移動して流す、3つが基本かと思います。
固い稽古が不十分だと、うちの2つは使えません。よって、固い稽古なしでは合気道は成立しないのです。
- 気の稽古は実戦の入り口
-
気体の稽古です。固い稽古と流れの稽古が完成すると、理論上は、技の導入後から完了までの一連の流れが一つとなります。あとは、導入さえできれば相手を倒せるようになるのですが、その導入の部分の稽古をするのが気の稽古です。
この稽古方法は、色々と工夫が必要です。多くの武道では試合形式という形を取るのでしょうが、合気道の場合は、試合形式にするのが難しいので、色々と考えて稽古をします。
- 荒稽古はプチ乱取り
-
一方が技を掛ける、もう一方は技を掛けさせない、型通りにスタートして、その後わりと自由にやり取りをして技の稽古をするイメージの稽古です。技の工程(型)がわかっているため、技を掛ける方は色々な工夫を必要とします。結構難しい稽古です。
まずは固い稽古を最優先で
固い稽古、流れの稽古、気の稽古の3つは、三元(固体・液体・気体)を表します。
人間に例えれば、骨と肉が固体であり、体を形成するために一番土台となる部分ですね。
合気道では、技もこのような構造で成り立っていると考えており、まずは、体を鍛え、しっかりした立ち方、姿勢や、呼吸力、目、基本の養成をする事が必要です。
姿勢や呼吸力、目を養うのには時間がかかるため、長い時間をかけて、正しく固い稽古を積むことがとても重要になるのです。
そうですねぇ・・・・・最低でも10年間は固い稽古を重視した稽古をしましょう。
ただ長時間稽古しないと使えないというわけでは無い点に注意
固い稽古と流れの稽古で、型を途中で途切れさせることなく最後まで継続させる事を身につける。これに合気道の技の性格を合わせて考えると、この二つの稽古方法の目的は、相手を傷つけずに抑える為であると言えると思います。
つまり、固い稽古・流れの稽古を長い時間かけて積み重ねるのは、合気道の平和主義を実現する為だという事になります。
これを逆に言えば、この難しい稽古を完成させるまでは、相手を無事に抑える事が困難な可能性が高いという事です。肩を崩して使う必要が生じるという事ですね。
ですから、固い稽古・流れの稽古を頑張りつつも、型を崩して、ダメージを与える事も考えておく必要があると思います。
他武道の技を参考にしても良いかも
相手にダメージを与えて、倒してしまうような武道の技も参考になります。
他武道の技を見ていると、合気道の技を崩したような構造をしているものも結構あります。このような技を見れば合気道の技の崩し方もわかります。
型を途中で切ってダメージを与える事が必要なのですから、攻撃方法は重要ですよね。
手刀打ちが必要ならそれを鍛錬し、突きが必要ならそれを鍛錬し、ちゃんと攻撃方法を磨いておくことは重要ですね。
と、色々書きましたが、合気道をしっかり稽古するのであれば、やはりできるだけしっかり固い稽古を行うことが大切です。皆さん、妥協せずに固い稽古を頑張りましょう。
コメント