杖術は剣術よりも素振りの種類が多いです。
しかも、少し多いという話では無くて、基本の素振りだけでも3倍近い数が有ります。
さらに、31の杖の素振りも有りますから、覚えるのにかなりの時間を要します。
ですから、先に、基本20本の素振り、31の杖の素振り、等を覚えてもらい、それができたら組んで稽古をするという流れで稽古すれば良いのですが、素振りのみの稽古では飽きがきてしまいます。(^_^;)
全ての素振りを覚えていない段階であっても、人と組んで稽古ができるように、工夫した稽古運びが必要ですね。
イメージを伴った素振りを身に着ける
僕の考え方としては、一定種類の素振りの稽古を行った時に、その素振りを使った型を稽古すると良いと思います。
素振りは、打ち合いの中で利用するものなので、日頃から打ち合いのイメージを伴った素振りを行いたいものです。
利用法のイメージの無い、無機質な素振りを身に着けてしまう前に、組杖や、合わせ法を経験する事で、少しでも利用法のイメージを伴った素振りを稽古して頂ければ、成長が早くなるだろうと思います。
特に31の組杖の素振りで
31の杖の素振りには、そのままでは動作の意味が分からない部分が存在ます。
「31の杖」と言うくらいなので、31個の動作で素振りを行うのですが、全ての動作に役割が有るのです。
しかし、組杖の経験が無いと、動作の意味を理解するのが難しい部分がいくつか存在ます。
例えば、杖を返すとき等ですね。
組杖の経験の無い人の場合、杖の状態を整えるために、杖を返す動作をしているケースが多いです。
確かに「体勢を整える為に杖を返す」という意味を持つ動作は存在しますが、いくつも存在するわけではありません。
実際の組杖では、相手の攻撃を払う動作だったりします。
また、組杖においては相手との位置関係の問題も生じます。
組杖では、相手との攻防の中で必要な位置関係というものが決まってきます。
ところが、素振りでは、相手との位置関係を想定してでは無く、素振りのルールとして動作を稽古します。
素振りしか稽古しない場合、実際の動きがわからない為、必要な部分が簡素化されていきます。
組杖において重要な部分が、素振りの際には不必要なものに見えるというわけです。
素振りの段階から、実際に組杖をする時のイメージを持って稽古ができたら、このような勿体ない話を防ぐことができますから、早い段階で組杖を経験することが大切です。
わからないながらもやってみる
上記のような狙いがあったので、31の組杖を体験してもらいました。
二人一組になってもらい、僕の組に合わせて、全員一緒に31の組杖を稽古します。
皆、31の組杖を覚えていない状況でしたが、何度か繰り返したので、ある程度のイメージは持てたのでは無いでしょうか?
こういう場合は、完全に覚えようとせず、全体のイメージを掴んだり、素振りで感じていた事と組杖の違い、などを確認して頂ければ良いと思います。
わからないながらもやってみて、何かを手に入れる技術を身に着けてください。
しかし、ちょっと苦労もしました。
相手をお願いした人も、まだまだ、型を覚えきれていない状態だったので、相手の動作も指示しながら稽古を行いました。
相手の動作を指示しながら、自分の動作もコントロールして行う31の組杖は、超高難易度でした。(^_^;)
自分の身体に動作が染み込んでいる部分と、相手の動作分を考えるという部分が、なぜか混乱を招く時があります。
どのような状況になっても、頭をしっかりと活用していけるようにする事も、合気道では大切だと思いますから、もしかすると、一番稽古になったのは僕自身かもしれません。
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