入り身投げの最初に部分として、まずはしっかり正面打ちを受けてから・・・という指導をします。この行為がとても重要なのです。
ただ、正面打ちの部分はとりあえず適当に受けとめて・・・というシーンや、しっかり受けずに躱して・・・というシーンを見かける事もありますが、これは非常に勿体ないです。
正面打ちに対応する捌き
正面打ちを受けるという行為は、先の事を考えて、どのタイミングで受けるのかをしっかり考えておく必要があります。
先の先、先、後の先、この3パターンは全て考えておく必要があり、どれもしっかり対応できるようにする必要がありますが、受けるという行為を考えた場合、重要なのは、先と後の先の二つですね。
簡単に言ってしまえば、横・裏の三角の捌きを活用して、それぞれに技を展開していけば良いのですが、どちらもなかなか難しい捌きなので、しっかりと稽古をしたいところです。
捌くには小手の強度が重要
捌きをしっかり行うには、やはりしっかりした小手が必要なのです。
そこで、まずはしっかりと正面打ちを打つ、それを逃げずに受け止める、という二つの稽古をしましょう。
小手をしっかり使用して、あまり力を入れなくても、きっちり受け止める事ができる気の通った腕を作る必要があります。
ベースは、木刀等の素振りで作るのですが、素振りでは強度は出せるのですが、衝撃耐久が伸びません。そこで、正面打ちを活用して、衝撃に対する耐久をあげていけば、小手の強度が増します。
さらに、小手を掴ませて、小手を開く稽古をすれば、内圧をあげて痛みに対抗できる小手ができると思います。
もちろん、技の中でコツを養えば、強度の頼る部分を減らすことが可能だとは思いますが、私個人としては、鍛錬する方が重要だと思います。
合気道は、あまり力を必要としないイメージを持つ武道なのですが、やはりそんな事はありません。
というか、当たり前の話ですが、力を使わずに済ませたいなら、力に代わるものが必要となるわけで、それが梃子の原理であったり、呼吸力であったりするわけです。
心理的なものや、反射等を操作して、そもそも力が出なくするような技法もあるのかもしれませんが、そういうのは、得てして自分自身や環境が整わないと使えないものが多いでしょうから、使える状況を選ぶでしょうし、もっと言ってしまえば一部の天才しか使えないでしょう。否定まではしませんが、要するに汎用性が無いと思うわけです。
その点、梃子の原理は体の操作で活用できますし、呼吸力は丹田が動けば使う事が可能です。別に、自分の意思も相手の意思も関係がありませんから、是非とも使いこなしたいものです。
ただこれも当たり前なのですが、梃子の原理は、その芯となる棒の部分が凹んだり折れたりしたら使えませんし、呼吸力についても、自分が掴んでいる場合は、その結びの部分に掴み方や握力が影響するわけで、相手と自分を繋ぐ部分が弱いのに、相手に力が流れるわけありませんからね。
つまり、合理的に考えていけば、小手まわりの事に関しては、どうしても強度が必要となるのです。そういえば、佐川幸義先生や、武田惣角先生は、小手が凄かったと本に書いてありました。たぶん、一定レベルの小手の強度があれば、力を抜いた状態で技をかけられるようになるのです。
その強度を得るために必要な技がいくつかあり、その強度の使い方を学ぶ技もあるわけです。だとすれば、小手の強度を得るために行う稽古については、強度を抜くべきではな無いのです。
ですから、正面打ち入り身投げについては、必ずしっかり打ち込んで、必ずしっかり受けるようにしましょう。必ず将来役に立ちますからね。
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