「合気道を人に教えられるようになるには、どうしたらいいのですか?」
と聞かれました。
これはちょっと難しい質問ですね。
うーーん、4段から師範代なので、4段を取得するといいかもしれませんと言いたいですが、それでは質問の答えになっていない気がします。
自分の経験から考えて、少し自論を書いてみたいと思います。
僕は、合気道開始5年目で、2段の時から滋賀道場の指導員を始めました。
もちろん、地理的な問題が大きく影響しており、滋賀で稽古を続けるにはそうするしかなかったのです。
正直、未熟でしたねぇ。(^_^;)
何が未熟かって、技もさることながら、合気道という武道への理解がまったく進んでいませんでした。
合気道はなかなか理解することが難しい武道です。
理解が進んでいない技では「この技はこういう風にやるんだ!」という理屈の無い指導が多くなってしまいます。
そこで「何故こういう風にやるの?」と聞かれれば、その答えが曖昧になってしまう事も多かったです。
理屈がハッキリしない技を稽古する場合は「その技が実際に掛かること(事実)」が必要となりますが、2段くらいでは扱える技数も少なくなります。
だからといって「気、呼吸、流れ」のような、それっぽい言葉の受け売りで、理屈があるような無いような話にして誤魔化すのも間違いだと思っていました。
指導する側は自分の力不足と向き合う必要があります。
例えば、気の認識、呼吸力の習得、流れの把握、合理的な理屈の把握、理屈を言葉にできること等、少しでも具体的な指導ができるように根拠を身に着けることが重要で、苦しい研究の日々を過ごさなければなりません。
その中でも、指導している内容に合理的な解説を加えられることが、指導をするための第一歩なのかもしれません。
気の認識は長い鍛錬が必要で、呼吸力の習得は気の認識の上にあると思います。
流れの把握には鋭い感覚と、状況によって変化する空間思考が必要になります。
これらは、長い年月を伴わないと身に着かないと思いますが、合理的に技を把握する事については、努力と勉強で習得の時間を短縮できると思います。
指導ができるようになりたい場合は、まずは、技の一つ一つに対して深い理解を求めるように稽古してください。
合気道を理解するという事
合気道を理解するために、師匠の言葉をじっくり考え、師匠の師匠の教えを学び、師匠の師匠の師匠の(・・それは開祖ですが(^_^;))の言葉をじっくり考えます。
時には、他武道の構造や考え方、理合、文化などにも興味を持って、合気道という一つの武道の理解のために、自分の中で情報を組み立てていきます。
合気道には、大きく分けて、戦国時代などの合戦場で活躍した武道としての側面と、武道をもって精神・肉体の修業と禊を行うという人間育成のための側面を持ちます。
指導者を目指す人は、この2つの側面から出発し、どちらの必要性も満たせるようにしなければなりません。
具体的に言えば、開祖の言葉を含め、合気道全体の研究から逃げてはいけないという事です。
技の効果ばかりを求めている人は開祖の言葉を勉強する必要があるし、合気道の精神性を重視している人も技の効果を求めた稽古をする必要があるのです。
何故なら、どちらが欠けても合気道の持つ役割を満たすことができませんので、それはもはや合気道では無いものになるからなのです。
将来、少しでも合気道を指導してみたいとお考えの方は、合気道がどうあれば良いのかを考えながら稽古して頂ければと思います。
もちろん、あくまでも「合気道」を求める人についてのお話なのですが・・・・(^_^;)
コメント